アナフィラキシーとは?
アレルゲンとの接触後2時間以内に、全身にわたっておこる急激なアレルギー反応がアナフィラキシーです。
皮膚症状、粘膜症状、消化器症状、呼吸器症状、循環器症状に大きく分けられ、複数の臓器にわたる症状を認めればアナフィラキシーと診断されます。
皮膚・粘膜症状としては、じんましん、口や目の腫れ、喉のかゆみやイガイガ感などがでます。
消化器症状としては、嘔吐や下痢がみられます。
呼吸器症状はせきやゼーゼーなどがみられ、呼吸困難になることもあります。
アナフィラキシーはひどくなると循環器症状としての血圧が下がり、アナフィラキシーショックという命にかかわる状態に移行することもあります。このようにアナフィラキシーとは一刻を争う状態であり、速やかな診断と治療が求められます。

アナフィラキシーの原因
アナフィラキシーをおこす原因は多々ありますが、重要性が高いものを3つあげてみます。
それは、①食物、②薬剤、③ハチ刺され、です。
多くの場合はアレルゲンと接触後15分から2時間以内に症状があらわれる即時型に分類されますが、食物の中にはもう少し遅く症状が出る遅発型もあります。
また中には、アナフィラキシーをおこす原因がよくわからないケースも存在します。
食物依存性運動誘発アナフィラキシー
ある特定の食物を食べた後、2時間以内に激しい運動すると、アナフィラキシーがおこることがあります。これを食物依存性運動誘発アナフィラキシーといいます。
この病気は、特定の食物を食べただけ、あるいは運動しただけでは症状はおきませんが、食事と運動が重なることではじめてアナフィラキシーがおきます。学童期以降に多くみられ、原因食物としては小麦や甲殻類(エビ、カニ)の頻度が高いのですが、まれに果物や野菜などでもおきる例もあります。
診断には疑わしい食物負荷と運動を組み合わせた誘発試験を行いますが、陽性率は2~3割と低く、確定診断がなかなか難しい病気です。
治療はどちらかの制限が必要で、運動するときは直前に原因食物を食べないか、あるいは原因食物を食べる時には2時間以内の運動を制限する、という方針になります。
エピペン(アナフィラキシー自己注射薬)について
前にもふれたように、アナフィラキシーの治療は一刻を争います。救急車を呼んでいる間にもショックをおこして、命を落としてしまう危険性もあります。
朗報ですが、例えば救急病院が遠いような外出先でアナフィラキシーをおこした患者さんが、その場で自己注射できるエピペンという薬が、日本でも使用できるようになりました。
エピペンはエピネフリンという薬が成分で、医療機関ではアナフィラキシーの第一選択薬として使用されます。この薬を早く使用することで、血圧を上昇させ、呼吸困難を改善することができます。
エピペンは全ての医療機関で処方できるわけではなく、処方を認可された医師のみが処方することができます。また0.3mgと0.15mgの2種類の剤型があり、体重が15kg以上あれば小児でも使用することができます。
