|
番号 |
7 |
|
HIT |
50615 |
|
タイトル |
睡眠時無呼吸症候群 |
|
内容 |
睡眠時無呼吸症候群という病名を、近年マスコミでも耳にする機会が多くなりました。10年以上前は社会的にあまり取り上げられることはありませんでしたが、2003年3月に山陽新幹線の運転手が新倉敷駅付近から岡山駅で緊急停止して起こされるまで居眠りをし、結果として睡眠時無呼吸症候群であることが判明してから、社会的に重大な関心が寄せられるようになりました。また1979年のスリーマイル島原子力発電所事故や1986年のNASAチャレンジャー号爆発事故も、睡眠時無呼吸症候群による作業ミスが原因だとも言われています。このように睡眠時無呼吸症候群を発症していると、重大な事故につながる可能性があるのです。
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に繰り返しおこる呼吸停止と日中の居眠りを特徴とし、①上気道閉塞が原因である閉塞型、②脳幹呼吸中枢の活動不全が原因である中枢型、③混合型、の3型に分類されます。肥満の割合が極めて高い米国では睡眠時無呼吸症候群の患者総数が1,200万人に及ぶとされていますが、本邦でも潜在する患者を含めると200万人にのぼるとも言われます。肥満の患者では頚部皮下脂肪による気道の圧迫や臥床時に舌が喉を塞ぐことにより気流制限が起こりやすくなり、それに伴って無呼吸発作と動脈中の酸素不足が出現します。睡眠時無呼吸症候群の患者さんの睡眠中の脳波をとってみると深い睡眠が得られていないという特徴があり、つまり脳が十分な睡眠を取っていないことから日中の睡眠発作に襲われるということにつながるのです。また最近の研究で、睡眠時無呼吸症候群は高血圧・狭心症・脳梗塞・糖尿病などの疾患を高率に合併することが分かってきており、睡眠時無呼吸症候群を積極的に治療することが、これらの疾患の予防にもなるのです。
睡眠時無呼吸症候群の重症度判定には、睡眠1時間に10秒以上持続する無呼吸・低呼吸の発現頻度(apnea hypopnea index:AHI)を用います。すなわち、軽症5≦AHI<15、中等症15≦AHI<30、重症AHI≧30となります。重症の患者さんあるいは中等症で症状がある患者さんの治療には、CPAP(持続陽圧呼吸)が適応となります。これは就寝時に鼻マスクを装着し、常に陽圧をかけることで気流制限を解除する方法です。CPAPの機器に関しては、保険診療の範疇で業者からレンタルする方法が一般的です。
睡眠中のいびきや無呼吸を認める患者さんは、睡眠時無呼吸症候群の可能性がありますので、一度検査をお勧めします。
|
|
|
|
|