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食物アレルギーとは? |
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ある特定の食べ物を摂取するとアレルギー反応がおこり、皮膚・呼吸器・消化器などのさまざまな症状が出現するのが食物アレルギーです。人間が生きていく上で食べることは必要不可欠ですが、通常は生体にとって異物である食べ物を異物として認識しないように免疫システムが回避され、消化管から吸収されるような仕組みになっています。ところが消化・吸収機能が未熟あるいは異常だったりすると、摂取した食べ物を異物として認識してしまい、食物アレルギーの症状が現れます。成人よりも、消化機能が未発達な乳幼児に多くみられます。 |
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食物アレルギーの症状 |
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乳幼児の場合は卵・牛乳・小麦が三大原因ですが、成人になると魚・エビ・ソバなどが頻度の高い原因として知られています。 |
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海老澤元宏:厚生労働科学研究班による食物アレルギーの診療の手引き2014より |
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食物アレルギーの症状は、①皮膚・粘膜症状、②消化器症状、 ③呼吸器症状、④循環器症状の四つに大きく分けられます。皮膚症状は最も一般的であり、湿疹やじんましんが出現します。粘膜症状としては、口の中・唇の腫れや喉のかゆみ・イガイガ感などがでます。消化器症状としては嘔吐や下痢がみられ、血便が出ることもあります。呼吸器症状はせきやゼーゼーなどがみられ、呼吸困難になることもあります。このように複数の臓器にわたって症状がみられる場合、アナフィラキシーと診断されます。アナフィラキシーはひどくなると循環器症状である血圧が下がり、アナフィラキシーショックという命にかかわる状態に移行することもあります。 |
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特殊な食物アレルギー |
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①食物依存性運動誘発アナフィラキシー
特定の食物摂取した後に運動をすることで初めてアレルギー症状が出現し、アナフィラキシーという重い症状を引き起こすこともあります。原因食物としては、小麦や甲殻類の頻度が多く見られます。また社会的に問題になった「茶のしずく石鹸」による小麦アレルギーも、この範疇に属します。アレルギー症状をおこす食物を摂取する場合は食後2時間ほど運動を控える、あるいは運動する場合は直前に原因食物を摂取しない、などの対応が推奨されます。
②口腔アレルギー症候群
特定の食物を摂取したときに喉が痒くなったり口の中が腫れたりなどの症状が出現しますが、それ以上の重い症状を引き起こすことはあまりありません。キウイや桃などの果物によることが多いのですが、もともとの果物アレルギーではなく、花粉症になってから口腔アレルギー症状が出現するとされています。生だと症状が出ますが、熱を加えたり加工品であれば多くの場合摂取可能です。 |
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食物アレルギーの診断 |
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食物アレルギーの診断には、まず詳しい問診が不可欠です。いつどんな症状が起きたのか、疑わしい食物は何か、正確に医師に伝える必要があります。乳児の場合には、アトピー・食物日記の記入が有用です。 |
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それに基づいて、アレルギーを調べるための血液検査や皮膚テストを行います。ただこれらの検査で特定の食物の結果が陽性だとしても、必ずしも食物アレルギーの診断には至りません。もちろんこれらの結果は参考にはなりますが、食物アレルギーの診断は、実際に摂取してみて症状が出るかどうかにより初めてなされます。 |
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食物アレルギーの治療 |
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食物アレルギーの治療は、原則として原因食物の除去しかありません。しかし原因となる食物も、加熱したり加工したりすると食べられることがあります。小児の場合は栄養不足の危険があることから、食物の除去は必要最小限にとどめる必要があります。また成長に伴って食べられるようになる可能性があるため、時期をみながら除去を解除するかどうか食物負荷テストにより確認します。食物負荷テストはリスクの低いものは外来で出来ますが、基本的には入院管理で行うようにします。卵・牛乳・小麦に関しては、学童期には制限解除になることが多いのですが、一部の児童で症状が持ち越すことがあります。この場合短期間入院のうえで、原因食物を症状が出ない微量からはじめて、集中的かつ段階的に摂取させて体を慣らし、ある程度の量まで摂取可能にしてしまう、経口減感作療法という方法があります。一部の限られた専門施設にて、対応が可能です。
一方成人の食物アレルギーは治る可能性が低いため、食物負荷テストや経口減感作療法を行うのは一般的ではありません。 |
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